2010 Fiscal Year Annual Research Report
二次元炭素系物質グラフェンにおける局在と量子ホール効果
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20740167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 健太郎 独立行政法人理化学研究所, 強相関理論研究チーム, 基幹研究所研究員 (00455776)
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Keywords | グラフェン / アンダーソン局在 / 量子ホール効果 / ディラック電子 / トポロジカル絶縁体 / 電気磁気効果 / 交差相関 / マルチフェロイクス |
Research Abstract |
本研究計画の母物質であるグラフェンは特殊なバンド構造を持ち、電子の運動は相対論的波動方程式(ディラック方程式)によって記述される。これまでディラック方程式に従う電子系として、アンダーソン局在や量子ホール効果の研究を行ってきたが、最終年度にあたるこの一年間では、これまでに調べてきた結果をグラフェンの関連物質であり、最近注目を集めているトポロジカル絶縁体の表面状態の問題に応用した。この表面状態もグラフェン同様ディラック方程式によって記述されるが、ディラック方程式の内部自由度(擬スピン)がグラフェンの場合は副格子の自由度に相当するのに対し、トポロジカル絶縁体の表面では実際の電子スピン、すなわち磁気的な自由度に対応する。したがって、磁性体との接合系においては、磁気効果と電気効果が非自明に結合する現象が期待できる。特に磁気渦や磁壁などのトポロジカルなテクスチャを持つ強磁性体がトポロジカル絶縁体表面と近接する場合には電荷が誘起する事を示した。場の量子論のテクニックを用いて、テクスチャの構造によって誘起される電荷を示す解析的な表式を得た。一つの応用として磁壁を電場を用いて運動させる事が出来る事を示した。典型的な系では磁壁の速度は秒速10メートル程度となるため、このメカニズムをスピントロニクスのデバイスに応用する事を提案した。このような磁性の電気的制御はモット絶縁体などのマルチフェロイクス物質でも盛んに調べられている。この観点から軌道縮退のあるモット絶縁体において磁気テクスチャと電場との結合に関する新しいメカニズムを提案した。
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Research Products
(5 results)