2009 Fiscal Year Annual Research Report
低周波フォノン誘起による重い電子の検証とその普遍性
Project/Area Number |
20740181
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
筒井 智嗣 Japan Synchrotron Radiation Research Institute, 利用研究促進部門, 副主幹研究員 (70360823)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 重い電子 / 非調和フォノン / 価数揺動 / X線非弾性散乱 / X線吸収 |
Research Abstract |
一連の充填スクッテルタイト化合物ROs_4Sb_<12>(R:希土類元素)において観測される100mJ/molK^2を越える大きな電子比熱係数の起源を探るため、電子比熱係数が約800mJ/molK^2のSmOs_4Sb_<12>と同様に価数揺動を示す強磁性化合物であるEuOs_4Sb_<12>のX線非弾性散乱実験を行なつた。EuOs_4Sb_<12)のEu原子のモードはSmOs_4Sb_<12>のSm原子のモードに比べ、約3meV高いことが明らかとなつた。また、X線非弾性散乱実験と平行して行なったX線吸収実験から、Euの価数がこれまで報告されていた価数揺動ではなく、純粋な2価であることも明らかとなった。これらの実験事実は、希土類由来のモードのエネルギーが希土類サイトの原子の可動長に依存することを示唆する。さらに、Euモードのエネルギーの温度変化は他のROs_4Sb_<12)の希土類原子のモードの温度変化同様、温度の低下とともに減少し、非調和性が大きなことが明らかとなった。 このほかに、本研究では一連のRos_4Sb_<12>で唯一半導体的な電気伝導を示すCeOs_4Sb_<12>に関しても室温でX線非弾性散乱スペクトルを測定し、一連の軽希土類が充填されたRos_4Sb_<12>における希土類元素由来のモードの希土類依存性に関する知見を得ることができた。その結果、EuOs_4Sb_<12>とSmOs_4Sb_<12)の比較から示唆されていた希土類由来のモードのエネルギーは、希土類の原子価とランタノイド収縮で説明できることから、希土類原子の可動長に強く依存していることか゜本研究からまいらかになった。
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