2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラストレーション系磁性体のスピン格子結合と軌道磁気モーメント
Project/Area Number |
20740209
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
寺田 典樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ビームセンター, 研究員 (60442993)
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Keywords | フラストレーション / 三角格子 / スピン格子結合 |
Research Abstract |
最近の固体物理研究分野において注目を集めている交差相関の研究では、磁場と磁化のように共役の関係に無い外場と、それに応答する物理量の結合のメカニズムの解明や、新たな交差相関を通して起こる物理現象や物質機能の発見が使命である。本研究で扱っている三角格子反強磁性体CuFeO_2も、磁気電気マルチフェロイック現象やスピン格子結合等の、交差相関現象を示す物質として知られている。本研究の目的はCuFeO_2のこれらの交差相関現象の発現の起源を、中性子散乱や放射光X線回折といった量子ビームを用いて解明することである。本年度の研究では、CuFeO_2が示す新奇なスピン格子結合現象を外部から制御することを試みた。これまでの研究では、外場として主に磁場、電場を用いた制御が行われていたが、本研究では外場として圧力に注目し、外場によってスピン状態を直接制御するのではなく、圧力によって結晶格子を制御することによって間接的にスピン状態を制御することを試みた。CuFeO_2の単結晶試料を用いて、高圧下中性子回折実験を行った.その結果、結晶格子と強く結合すると考えられていたコリニア、コメンシュレート磁気構造が8GPaという高圧力によって抑制され、非整合磁気秩序が出現した。この結果は、CuFeO_2の磁気構造の実現に取って格子歪みが非常に重要な役割を担っていることを裏付ける証拠となった。
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