2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋ミオシン1分子から多分子への階層化に伴うシステム機能発現の解明
Project/Area Number |
20740238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅 元司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (00422098)
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Keywords | 骨格筋ミオシン / 生物物理 / ナノバイオ |
Research Abstract |
平成20年度の目的 : 『何分子が機能しているか?』を評価する手法を構築し、何分子のミオシンが集合した時に力発生に大きな変化が現れるか検証し、どの階層レベル(何分子の集合体)でシステムとしての機能(力発生)が向上するのか明らかにする。 1. ミオシン多分子複合体(2-5分子)がアクチンと相互作用時の変位から、確率的モデルを用いて変位発生に作用している分子数を見積もることを試みた。その結果、低ATP濃度においては、その内のある1分子がアクチンと相互作用して、変位を発生させていることがわかった。 2. 複合体が発生したアクチン変位の前方向へ進む効率(前方向と後ろ方向に進む歩数の比)の解析により、たとえ変位発生が逐次ある1分子によってなされているとしても、その前方向へ進む効率は複合体の含む分子数が2分子から5分子へと増加すると、飛躍的に増加することがわかった。 3. 以上の解析結果等をまとめると、ミオシン1分子が力・変位を発生させる際、アクチンと相互作用できる分子数を2分子から4分子へと増加させると、外部からの負荷を分子間に分散させて、力を発生するミオシンが進むべき収縮方向へ、より効率的に進むことがわかった。 今後は、この結果をより直接とらえるために、多分子複合体における特定の2分子を蛍光標識できるように、遺伝子組換えミオシンの発現を行い、実験を実施していく予定である。
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