2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋ミオシン1分子から多分子への階層化に伴うシステム機能発現の解明
Project/Area Number |
20740238
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅 元司 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (00422098)
|
Keywords | ミオシン / 1分子計測 / 筋肉 / スティフネス |
Research Abstract |
生体機能を担う組織(心臓、筋肉、血管など)は、タンパク質が集合体を形成して機能している。その機能発現は、最先端の工業技術を屈指しても模倣することのできない、各分子の巧みな機能、またその集合体による機能の拡張によって成されている。それ故、その集合体の機能発現がどの様に行われているか理解することは、生命科学の本質的な問題として、また人工生体組織の開発など工業的な発展として、非常に重要な事である。そこで本研究では、分子の機能から集合体の機能への変化を理解するのに適した組織として、規則正しい集合体を形成する筋肉に着目した。筋のタンパク質、骨格筋ミオシンに着目し、「骨格筋ミオシンが多分子化していく過程において、その集合体としての機能(力・変位)の発現がどの様に変化していくか?」に着目して、研究を遂行している。 本申請研究では、多分子(3-5分子)の中での1分子の詳細なダイナミクスを理解することに重点をおいた。まずは、3-5分子のミオシンが同時にアクチンと相互作用できるミオシンフィラメントにおいて、発生する力と変位をレーザートラップにより計測した。その結果、ミオシン1分子はアクチンとの相互作用で、負荷に依存して7nmから4nmにステップ幅が減少することが判明した。またミオシン1分子の弾性計測を行い、そこから推定される弾性部位の伸びとステップ幅を足し合わせると、負荷に依存せず8nmと一定となることから、ミオシンは構造変化により元来8nmのアクチンの移動を施しているが、負荷存在下では弾性部位の伸びによって、打ち消されてステップ幅が減少することが判明した。さらに、弾性特性が非線形であることが初めて判明し、このことからミオシンは力発生後に押し縮められても、反発することなく収縮の抵抗とならない巧みな1分子力学特性を有することが判明した。このことから、筋収縮中の1分子ダイナミクスが明瞭化されてきた。
|
Research Products
(2 results)