2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740242
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 伸也 Osaka University, 生命機能研究科, 助教 (90324863)
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Keywords | 構造色 / フォトニック構造 / 干渉 / 鳥 / 羽根 |
Research Abstract |
自然にはあたかも人工物のような輝きを持つ色の生物が存在している。そのような輝きの例は、タマムシやモルフォチョウなどの昆虫を始めとして、両生類や爬虫類、そして鳥の羽根にも見つけることができる。例えばクジャク、キジ、カワセミ、ドバト、キヌバネドリなどである。このような輝きのある色は、色素の光吸収による着色現象とは区別して、構造色と呼ばれており、光の波長程度の大きさを持つ微細構造が引き起こす干渉や散乱などの光学現象にその起源がある。本研究では自然界の構造色を持つ生物の中で、これまで研究が進んでこなかった鳥の羽根に注目し、輝きを生み出す微細構造とその光学特性を明らかにることをにている。 今年度は身近な対象であるドバトについて詳しい観察と光学特性の測定を行った。その結果、単純な光の干渉だけではなく、総合的な発色の仕組みをもつことが明らかになった。発色の直接的な原因となっているのは、小羽枝断面に見られる外皮部分である。厚さ数百nm程度の外皮が薄膜干渉を起こすことで、可視光から紫外線の波長範囲に複数の反射ピークが生み出されている。しかし、シャボン玉と同じ単純な薄膜干渉だけでは、ドバトの羽根の反射特性を全て説明することはできない。光の波長よりもはるかに大きなサイズの構造が発色には大きく寄与していることが明らかになった。細長い小羽枝はねじれや湾曲した形をしており、もう一段階大きな構造である羽枝も、湾曲、ねじれ、重といつた構造が見られ、それらが反射の角度範囲をコントロールしている。さらにはメラニン色素顆粒が偏つて存在することも発色に寄与していることがわかり、ドバトの構造色は総合的な発色機構が明らかになった。また、羽根光学特性を定量的に説明するための数理モデルを提案し、実験と良い一致を示すことがわかった。
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Research Products
(3 results)