2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740242
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 伸也 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 助教 (90324863)
|
Keywords | 構造色 / フォトニック構造 / 鳥 / BRDF |
Research Abstract |
クジャクやタマムシを代表例として、自然界の生物は光の波長サイズの微細構造体を利用して輝くような色を作り出している。これらの色は構造色と呼はれ、発色の物理的な仕組みやその生物学的意味に関して、近年盛んに研究が行われている。本研究は、フォトニック結晶に類似した周期的な微細構造を持つことが知られていながら、光学特性の評価が遅れていた鳥の羽根を対象として構造色の機構を解明することを目的として行った。 今年度は、まず始めに構造色の持つ光学特性をより適切に把握するための新たな測定装置の開発を行った。その装置では、反射光を二つの角度を変数として測定し、反射率を二次元平面上の強度パターンとして表現することができる。BRDF(二方向反射率分布関数)と呼ばれるこの表現方法の利点は、反射の鏡面成分と後方散乱成分の違いを直感的に区別することが容易で、かつその割合を定量的に把握できる点である。光学糸の構築と制御プログラムの開発を行い、いくつかの構造色を持つ試料において測定を実行した。 その結果、トリバネアゲハにおいては、波長選択的な後方散乱現象がみられることを明らかにした。 また、光学特性を評価するため三つの数値計算法を導入した。有限フォトニック結晶に対するトランスファーマトリックス法、時間領域差分法、そして平面波展開によるフォトニックバンドの計算方法である。これらの計算コードは現在も継続して開発中であるが、予備的な計算は既に終了している。クジャクの羽根で見られるような、微小円柱が周期的に並んだ系で反射率計算を行いその反射特性を定量的に評価した。さらに、身近なカラスの羽根において、電子顕微鏡観察により微細構造を決定した。一見すると黒いだけに見えるが、その羽根には"濡れ羽色"と呼ばれる特殊な様相がある。微細構造の決定と光学計算により、その仕組みを明らかにした。
|
Research Products
(3 results)