Research Abstract |
前年度に直径75cmの大口径真空容器に直径6.5cmのガラス管を持つ永久磁石利用発散プラズマ源を接続し,数mTorr以下の低気圧アルゴン雰囲気中で,13.56MHz,250Wの高周波誘導結合放電によりアルゴンプラズマを生成した際に,数10eVの超音速イオンビームが励起される現象が観測されている.これを踏まえて,静電イオンエネルギーアナライザー,ラングミュアプローブ,及びエミッシブプローブを用いて,上述の条件下においてプラズマ電位の軸方向分布の計測を行った.その結果,プラズマ源出口近傍に急激な電位降下が観測され,ダブルレイヤー構造が形成されていることが明らかになり,上記のイオンビームエネルギーはダブルレイヤーの電位降下によく一致することが明らかになった.また永久磁石配列を変化させることによって3種類の磁場配位を用いて実験を行い,電位降下に相当するイオンビームエネルギー,及び電子温度のガス圧依存性を計測した.ここでは,永久磁石利用発散プラズマ源によって形成されるダブルレイヤーの強度は,磁場強度の増加に伴い増加するが,電子温度の7倍程度で飽和することが明らかになり,従来の電磁石利用プラズマ源に比べてイオンの加速エネルギーが大きいことが明らかになった. また,ダブルレイヤーの下流側でのイオンビーム空間分布を計測したところ,ダブルレイヤーから10cm程度下流までは磁力線に沿ってイオンビームが発散するが,その後磁力線からの逸脱現象が起き,イオンビームが軸方向下流へと伝搬していることを実験的に明らかにし,上記プラズマ源が高効率・長寿命電気推進機として応用出来る可能性を示した.
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