2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
並河 英紀 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 助教 (30372262)
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Keywords | ナノ空間 / 脂質二重膜 / 分子フィルタ / 自発展開 / 化学ポテンシャル / 単一分子観察 / ラチェット効果 / マイクロ化学チップ |
Research Abstract |
本申請研究では、場の分子集合体物性及び化学ポテンシャルの制御が可能な数十ナノメートル程度の微小な空間「ナノゲート」を利用し、キラル認識分別を含めた分子認識分別を可能とする微小場の創成を目的とした。全ての場に普遍的に介在する化学ポテンシャルを制御する本概念は、ありとあらゆる分子の性質(サイズ・電荷・キラリティーなど)を分別因子とし、従来の分子分別法とはその起源を異にする新規概念に基づいた分子分別方法論となる。特に本申請研究では、化学ポテンシャル制御の因子となるナノゲートならびに場の分子集合体(脂質二分子膜)の構造依存性検討による制御因子の明確化を図り、さらにその発展としてキラル認識分別能の検討、非対称ナノゲートによる微小場二次元分別システムの構築を目指した。 そのモデル系として、各種色素修飾脂質分子を添加した脂質二分子膜を用い、ナノゲート・脂質膜構造の各項目についてフィルタリング特性への依存性を検討し、ターゲット分子のサイズ・電荷・立体配置などに対する構造と効果の相関性を検討した。効果の評価は(1) 流路内での分子分布評価と(2) 単一分析システムによる分子拡散ダイナミクス変調の定量的評価に基づき、巨視的・微視的の両者からの評価をおこなった。以上の検討より、高脂質分子密度への溶解度の低い分子に対して特に顕著なナノゲートフィルター効果が確認され、その発現機構として考えられる局所的な高膜密度状態の誘起を支持する結果が得られた。
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