2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工原子におけるレーザー制御超高速スピントロニクス
Project/Area Number |
20750018
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐甲 徳栄 Nihon University, 理工学部, 講師 (60361565)
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Keywords | 人工原子 / 量子ドット / 磁性 / スピントロニクス / 量子化学 / 配置間相互作用法 / 交換相互作用 |
Research Abstract |
高い磁気モーメントを持つ原子を埋め込んだ「磁性原子内包型人工原子」において,磁性原子のスピン状態を外部電磁場を用いて制御することを目的とした理論研究を行い,本年度は以下に示す成果を得た: 1.フントの多重項則の起源 人工原子のエネルギー準位構造において,自然原子の場合と同様にフントの多重項規則が成立する起源を明らかにすることを目的として,非等方ガウス基底関数系および完全CI法に基づいた高精度な波動関数を求め,その節構造の詳細な解析を行った.電子状態計算において従来用いられてきた独立電子座標とは異なる「ノーマル座標」を導入することによって,波動関数を重心成分と内部成分に分離し,そしてこのノーマル座標に基づく量子数の帰属を行った.その結果,2電子系のスピン状態である1重項と3重項状態は,それぞれ.重心角度モードおよび内部角度モードに励起を持つことが示された.そして,3重項状態では.内部波動関数に角度モード励起による節を持つことによって,電子間反発ポテンシャルの特異点を避けることができるため,1重項状態よりも低いエネルギーを持つことが明らかとなった. 2.Loschmidt Echoを測る計算コードの開発 磁性原子内包型人工原子においてスピンの量子制御を実現するためには,量子状態が外部摂動に対してロバストネスを持つ必要がある.このロバストネスを定量化するために,系のLoschmidt Echoを計算するコードの開発を行った.具体的には,前年に開発した,磁性原子内包型人子原子のスピン電子構造を計算するコードに対して,微小なランダムノイズを表す1電子演算子の組み込みを行い,ランダムノイズの有無に対する電子波束の時間発展を,シンプレクティック・インテグレーター法によって求める計算方法を開発した.
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Research Products
(6 results)