2008 Fiscal Year Annual Research Report
高周期15・16族原子ラジカルの同定と反応性解明の基礎研究
Project/Area Number |
20750032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 泰之 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (30456826)
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Keywords | 有機化学 / 有機ラジカル / ヘテロ元素 / カルコゲン / 重合反応 |
Research Abstract |
高周期ヘテロ元素化合物ラジカルに関する、同定、反応性、および重合反応への応用について検討を行った。嵩高い置換基をもつジテルリドを用いて、光照射により生じるラジカルのESRによる同定を試みたが、シグナルの検出には至っていない。また、嵩高い置換基をテルル上にもつ有機テルル化合物重合開始剤を合成して、スチレンの高温加熱、あるいはAIBNを用いた重合反応を行い置換基の効果を検討した。その結果、嵩高いテルル上置換基をもつ化合物からの加熱によるラジカル発生は、従来のフェニル基をもつ化合物からよりも速く起こり、また、加熱による重合の進行も速かった。しかし分子量分布が広く、重合の制御は行えなかった。これは置換基の嵩高さが、炭素ラジカルとの再結合と、交換連鎖反応を阻害しているためであると考えられた。 有機テルル化合物からのラジカル発生に光照射を用いることを検討し、高圧水銀ランプ、紫外線ランプなどを光源として、非共役モノマーを含む幅広いモノマーの重合制御が行えることを明らかにした。この方法には、分子量が22万、PDI=1.18の高度に重合制御されたポリアクリル酸ブチル(ポリBA)の合成が可能、室温〜0度の温度でもBAの重合が可能といった特徴があった。光照射を用いる方法は、有機テルル化合物を用いた重合法の新しい反応方法として、高温加熱およびラジカル開始剤を必要とせず、かつ効率的に重合が進行することから非常に有用であると考えられる。
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