2009 Fiscal Year Annual Research Report
高周期15・16族原子ラジカルの同定と反応性解明の基礎研究
Project/Area Number |
20750032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 泰之 Kyoto University, 化学研究所, 助教 (30456826)
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Keywords | 有機化学 / 有機ラジカル / ヘテロ元素 / カルコゲン / 重合反応 |
Research Abstract |
前年度までに、有機テルル化合物に光照射を行うことにより、炭素-テルル結合の開裂により非常に効率よく炭素ラジカルとテルルラジカルを発生させることができることを見出し、リビングラジカル重合反応(光重合)に応用可能であることを示した。本年度はこの反応の有用性を発展について検討した。 炭素-テルル結合の開裂しにくい化合物はリビングラジカル重合の連鎖移動剤としては従来すぐれていなかった。しかしこれらテルル化合物は空気中で安定であり、扱いの容易さからテルル化合物を用いた重合法の有用性を向上させるものと期待される。そこでテルル化合物の置換基を種々検討したが、空気中での安定性と高い重合制御能の両立にはいたらなかった。テルル化合物の置換基の検討の中、フタルイミド基をもっテルル化合物に着目しこれを用いた重合が高い制御を持って行えることと、フタルイミド基の脱保護によりα末端に一級アミノ基をもつ重合体が効率よく得られることを明らかにした。また光重合法は反応機構の本質的にはアゾ化合物を用いる重合反応で見られるような副反応を伴わないことから、ブロック共重合体の精密合成への応用を図り、性質に興味のもたれるN-ビニルピロリドンを含むブロック共重合体の合成を行った。 本研究ではテルル化合物からの主に光照射を用いたラジカル発生とこれを用いた重合反応の開発を行い、末端官能基化重合体やブロック共重合体合成など、種々の応用が期待される高分子の合成に有効であることを示した。
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