2009 Fiscal Year Annual Research Report
集積化様式を制御できるイミド基盤オリゴマーの合成,構造および光機能
Project/Area Number |
20750038
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
岩永 哲夫 Okayama University of Science, 理学部, 助教 (40454805)
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Keywords | パイ電子系 / 自己集積化 / 芳香族ビスイミド / 電荷移動相互作用 / 光誘起電子移動 / 光機能 |
Research Abstract |
ペリレンビスイミド誘導体は,その蛍光特性や熱安定性から機能性材料のコアユニットとして多く利用されている.また,超分子化学の分野においては,広いπ電子系を利用したユニークな分子集合体が数多く報告されている.我々はペリレンビスイミド骨格をコアに持つドナー/アクセプター型ロッド状分子を設計し,イミド部位に長鎖アルキルなどの置換基を導入し,置換基同士の親和力とπ-π相互作用を利用してドナーとアクセプターユニットを分離積層させた集積体を構築することを計画した。規則的に分子を配置する手法が確立できれば,光誘起電子移動などで発生したキャリアの動きを妨げない集積体を構築することが可能となる. 1,7-ジブロモ-N,N'-ジオクチルペリレンビスイミドを出発原料に用いて,対応する様々なボロン酸エステル誘導体との鈴木-宮浦カップリングによりアリール基を導入すると,目的物を中程度の収率で得られた.目的物は^<1>H・^<13>C NMRスペクトルおよびFABマススペクトルにより同定した.得られた化合物の分光学的性質を明らかにするために,クロロホルム中においてUV-visスペクトルと蛍光スペクトルを測定した.UV-visスペクトルにおいて,約630-680nmに電荷移動相互作用に伴う幅広い吸収が確認された。蛍光スペクトルにおいて,興味深いことに,ペリレンビスイミド部位を励起させた時,末端にアントラセン骨格を導入した誘導体はフェニル基を持つものに比べて大きく消光した.このことは,アントラセン誘導体の分子内または分子間で光誘起電子移動が起こっていることを示唆している.
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