2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750069
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 和弘 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60375607)
|
Keywords | オレフィンメタセシス / 閉環 / ベンゼン / フェノール / スチレン / グラブス触媒 |
Research Abstract |
ベンゼン環上に様々な置換基を有する芳香族化合物、即ち置換芳香族化合物は、先端材料物質や工業薬品、医薬品等における重要物質として幅広く用いられており、これらの真に有用な合成法の開発が強く望まれている。本研究計画は、非環状化合物を環化・芳香族化させることで、位置異性体の全く混在しない強力な置換芳香族化合物合成法を開発することを目的としている。 当該年度は、これまでに開発したベンゼン、およびフェノール誘導体の合成法に改良を施すことで、スチレン、ピリジン誘導体の合成法の開発を検討した。スチレン誘導体は様々な重要物質の合成中間体として、ピリジン誘導体は医薬品の構成要素として特に重要な化合物として知られている。スチレン誘導体の合成前駆体となる新たな非環状基質は、一般性のある薗頭カップリング、アリル化反応を利用することで行った。この基質に対する閉環反応として、エンインーメタセシスを検討してみたところ、思惑通り望みのスチレン誘導体を選択的に得ることに成功した。この合成法は、ルート全体を通して官能基選択性に優れた反応のみを利用しているため、実践的な合成法として利用可能である。 また当該年度は、窒素原子を組み込んだ非環状基質からの閉環メタセシス/脱離、あるいは閉環メタセシス/酸化/脱ベンジル化の連続反応を利用する3-ヒドロキシピリジン誘導体の合成にも成功した。これらの方法論の最大の利点、特徴は、原料基質の置換基の位置を完全にコントロールした上で、最終的に環構築、芳香族化を行っていることから、分離困難、あるいは分離不可能な位置異性体の副生を完全に抑制することができた点にある。
|
Research Products
(7 results)