2008 Fiscal Year Annual Research Report
ブロック共重合体を有効鎖とする新奇な高分子ゲルの創製
Project/Area Number |
20750095
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡部 哲士 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 助教 (80452738)
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Keywords | ブロック共重合体 / 高分子ゲル / 相分離 / 相転移 |
Research Abstract |
本研究ではブロック共重合体をネットワークの有効鎖とする新奇な高分子ゲルの作成法を確立し、その物性を明らかにすることを目指している。 20年度には、合成に最適なゲルの組成を決定するにあたり、モノマーであるNイソプロピルアクリルアミド(NIPA)の、溶媒である水に対する溶解性を調べた。この系は広い組成範囲においてNIPAが多く含まれる相(H相)と水の多く含まれる相(S相)の二相に分離することが分かっている。目視による相分離状態の観察や磁気共鳴(NMR)測定による溶液組成の検討の結果、H相の組成は温度にほぼ依存せずNIPA分子と水分子のモル比がほぼ1 : 1であり、S相の組成は高温ほど水の割合が増大する傾向にあることが分かった。さらに、示差走査熱量測定(DSC)とNMRによる冷却実験により、溶液は冷却の仕方(徐冷又は急冷)によって結晶又はガラス状態へと転移することを見出した。また、溶液は急冷操作によってガラス状態へ転移するが、徐冷または急冷後に加熱することによって結晶状態が得られることが分かった。本研究成果は日本物理学会にて発表した。一方、新奇な高分子ゲルの分子構造を実現することを目的とし、従来と異なる架橋法の開発を行った。これは表面に官能基を導入したシリカ粒子を架橋点として利用する方法であり、目的とする高分子ゲルを作成する際に有効であると考えられる。イオン交換およびシランカップリング反応を用いたシリカ粒子の作成、続いてモノマー溶液との混合、撹拌という手順において、一定の条件で、目的物質と見られるゲル状物質が生成することが分かった。
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