2008 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素をジカルボニル構造ゲスト分子と認識する新規ホスト分子の創製
Project/Area Number |
20750112
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩澤 哲郎 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80452655)
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Keywords | 二酸化炭素の分子認識 / ジカルボニル構造 / ジカルボニル分子認識 |
Research Abstract |
本研究では、二酸化炭素分子をジカルボニル構造ゲスト分子と見立てて二つのカルボニル酸素に配位可能な新規ホスト分子の合成を行った。第一にレゾルシンアレンを骨格構造に持つ包接型ホスト分子の合成に着手し、水酸基を2つ持つ分子、4つ持つ分子、ケイ素を1つ分子、2つ持つ分子、リン原子を1つ持つ分子、2つ持つ分子等を有するホスト分子の調製に成功し報告した。二酸化炭素分子に対する認識能を調べる実験についてNMRを用いて行ったが、現在迄のところ、はっきりした認識能を確認するには至っていない。続いてピレンを骨格構造に持つクレフト型ホスト分子の合成に着手した。しかし現在までのところ、ピレンの反応性制御には成功したものの、望みとするホスト分子の調製には至っていない。次に、アンスラセンを骨格構造に持つクレフト型ホスト分子の合成に着手し、4種類のアミノ酸側鎖構造を持つジオール体の調製に成功した。この各種分子を用いて二酸化炭素分子に対する認識能を調べる実験についてNMRを用いて行ったが、現在迄のところ、はっきりした認識能を確認するには至っていない。けれども、これらアンスラセン保有クレフト分子が種々の特異なアニオン認識能を持つことを見出した。アミノ酸の脂肪鎖構造の違いがアニオン認識の強弱に大きく影響を与えていた。この結果は、生体におけるタンパク質構造によるアニオン認識機構に新しい知見を与えるものであると考える。また、二酸化炭素分子の活性化や認識挙動に関して、アミノ酸そのものまたはアミノ酸構造類縁体を用いた方法を検討する価値があることを示唆するものであると考える。
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