2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20750149
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
米崎 功記 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (20377592)
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Keywords | 光物性 / 結晶化ガラス / 蛍光体 |
Research Abstract |
一部の遷移金属イオンは、軌道間電子遷移に伴い可視波長域の光吸収、発光を示す。蛍光灯や薄型ディスプレイなどに用いられる蛍光体の多くは、呈色の少ない材料に遷移金属イオンを微量添加することで合成されている。遷移金属イオンから観測される発光の色や強度は、遷移金属イオンとその周囲の環境に強く依存するため、遷移金属イオンを内包するホスト材料の選択、構築が蛍光体を設計する上で重要な要素となる。 本研究では、発光中心としてEu、Ce、Mnを、ホスト相としてペロブスカイト型酸化物結晶、グラセライト型酸化物結晶を選択し、固相反応により合成した蛍光体の発光特性を調査すると共に、ホスト相に構造歪みを誘起することで発光効率を改善することができないか検討を行った。得られた研究成果を以下に記す。 1 ペロブスカイト化合物BaTiO_3 BaO-TiO_2-Al_2O_3-Na_2O-SiO_2-Eu_2O_3ガラスに、730℃で30分熱処理を行うことで、BaTiO_3結晶化ガラスが得られたことをX線回折法により確認した。同ガラスに数十フェムト秒のパルス幅をもつTiサファイアレーザーを連続集光照射することでも焦点付近にBaTiO_3が析出した。レーザー焦点付近ではガラス相にも大きな歪みが観測された。ここで得られた数十ナノメートルの結晶子サイズをもつEu含有BaTiO_3結晶化ガラスは、蛍光体としての応用以外に、誘電材料への展開が可能であると考えられる。 2 グラセライト型化合物M_3MgSi_2O_8 (M : Ba, Sr, Ca) Baを多く導入した化合物では、Ba近辺の立体障害によるMgサイトの対称性低下を示唆する結果が得られた。同試料にCe^<3+>, Mn^<2+>イオンを添加すると、対称性が低下したMgサイトを占有するMn^<2+>イオンの赤色発光強度が増大することを確認した。結晶構造へ誘起した構造歪みがMn^<2+>の発光効率を改善したものと考えられる。
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