2008 Fiscal Year Annual Research Report
リビング重合による架橋高分子ゲル多孔構造の精密制御
Project/Area Number |
20750177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金森 主祥 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (60452265)
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Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / 多孔体 / ゲル / 炭素材料 |
Research Abstract |
平成20年度は、2種類のリビングラジカル重合法を用い、ビニル化合物を出発物質とした多孔体合成を行った。原子移動ラジカル重合法(ATRP)を用いた1,3-グリセロールジメタクリレート(GDMA)の重合では、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とし、ポリエチレンオキシドを相分離誘起剤として用いることでスピノーダル分解を誘起し、マイクロメートル領域に鋭い細孔径分布を持つ多孔体とすることができた。有機テルル化合物を用いたリビングラジカル重合(TERP)を用いた系では、1,3,5-トリメチルベンゼンを溶媒、ポリジメチルシロキサンを相分離誘起剤としてジビニルベンゼン(DVB)の重合を行った。本系においても、同様の機構で鋭い細孔径分布を有するマクロ多孔性ポリジビニルベンゼン(PDVB)を得ることができた。通常のラジカル重合系では、生じる重合体の分子量分布が広く、重合過程で核生成・成長過程により重合体粒子が偏析して不均一構造に至ることが知られている。本研究で検討したリビングラジカル重合系では、重合体の分子量分布が比較的狭く、均一な架橋構造中においてスピノーダル分解が誘起されることによって整ったマクロ孔を有する多孔体が得られたと考えられる。また、後者の系で得られたポリジビニルベンゼン(PDVB)多孔体に対し、不活性雰囲気下で熱処理を行うことで炭化させ、炭素状化合物とすることができた。この際、熱分解を伴う炭化により多少の収縮はみられるものの、マクロ孔の形態は保持されたまま炭化が起こることが確認された。炭化によりミクロ孔が増大し、比表面積は1500 m2 g-1に達することが分かった。
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Research Products
(20 results)