2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760030
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野村 政宏 The University of Tokyo, ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構, 特任助教 (10466857)
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Keywords | フォトニック結晶 / 単一量子ドット / レーザ / ナノ共振器 |
Research Abstract |
本研究は高品質なエアブリッジ型二次元フォトニック結晶ナノ共振器を用いて世界に先駆けて単一半導体量子ドットレーザを実現することを目的とする。そして、学術的に非常に興味深い共振器量子電磁気学によって支配される特徴的な物理を、極めて安定した固体系で研究することを目的としている。 今年度は、位置制御技術は用いず量子ドットと共振器がランダムな位置関係の中で単一量子ドットレーザの開発を行った。そして、世界で初めて単一半導体量子ドットを用いたレーザの作製に成功した。この単一人工原子レーザは、極めて特徴的な光子統計をもつ。閾値以下の励起パワーでは単一光子発生素子として機能するため、アンチバンチンイブが観測される。また、閾値を超えるとボアソン光になるが、その過程で振幅雑音が増幅されるため、バンチングが観測される。これらの光子統計は単一発光体を利得媒質とするレーザのみに観測される。作製した単一人工原子レーザについて光子統計を測定し、この特徴的な光子統計の観測に世界ではじめて成功した。 これらの結果は、極めて安定した固体系で単一発光体によるレーザ発振を可能にするため、共振器量子電気力学の分野に貢献するだけでなく、超低パワー駆動のコヒーレント光源を提供することで、ナノフォトニクス分野に広く貢献すると思われる。
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