Research Abstract |
前年度に引き続き,マグネシウム合金(以下,Mg合金)の精密鍛造の実用化を目指して,鍛造加工中に生じるMg合金の割れ発生について,塑性力学,金属学の両観点から調べた.前年度に提案したMg合金の引張り,圧縮の両条件での応力-ひずみ曲線を取り込んだ有限要素解析により,曲げ加工や後方押出し鍛造加工でのMg合金の割れ発生予測を適用し,その有効性を検討した.従来手法による結果と比較して予測精度は向上したが,十分な予測精度は得られず,Mg合金の異方性や集合組織の影響を考慮する等,実加工への適用に対して,今後,取り組むべき課題も多いことが分かった. 一方,プレススライド制御が可能なACサーボプレスを用いて,鍛造加工中のプレススライド速度の加減速等の加工モーション制御がMg合金の鍛造加工性に及ぼす影響を調べ,Mg合金の精密鍛造プロセスのための鍛造加工手法を考案した.鍛造加工実験により,Mg合金の変形抵抗がピーク値をとる相当ひずみ0.2程度までは高速で鍛造加工し,加工軟化のふるまいを示す相当ひずみ0.2以上のひずみ域では低速で鍛造することで,鍛造加工限界が向上することが分かった.この減速スライドモーションでの鍛造加工では,金属組織観察によりMg合金の結晶粒径分布のバラツキが小さく,また有限要素解析によりMg合金のひずみ,温度分布のバラツキが小さく,鍛造加工中のひずみ集中を避けられることを明らかにした.さらに有限要素解析により,延性破壊パラメータ値も低く抑えられることも確認できた.
|