2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線照射による窒化炭素膜超低摩擦発現時のなじみ過程の促進と耐面圧の向上
Project/Area Number |
20760097
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野老山 貴行 Nagoya University, 工学研究科, 助教 (20432247)
|
Keywords | 炭素系硬膜 / 紫外線照射 / オージェ電子分光分析 / 窒化ケイ素球 / 窒素ガス / トライボロジー / ピンオンディスク摩擦試験 |
Research Abstract |
窒化炭素(Carbon Nitride : CNx)膜は,窒素雰囲気下において摩擦係数が0.01以下の超低摩擦を示す材料であり,低摩擦材料として注目されている.超低摩擦発現のメカニズムは,窒素雰囲気下での摩擦によるCNx膜表面のグラファイトのような構造への変化,及び相手材料表面に形成される移着膜が重要であると報告されている.そこで,従来摩擦により引き起こされる構造変化を簡便に行う手法として紫外線照射によるCNx膜摩擦特性向上の可能性について検討した.紫外線のエネルギは,E=h(c/λ)×NA(hはプランク定数,cは光速度,λは光の波長,NAはアボガドロ数)により算出され,C-N結合以上のエネルギにより結合を切断し,CNx膜に含有される窒素原子の膜外への脱離に伴う,グラファイトのような構造を有するCNx膜の取得について検討した.具体的には,窒素含有量の異なるCNx膜に(窒素含有量をx部分に表記)紫外線を照射し,窒素雰囲気下,大気中紫外線照射下,PAO(ポリアルファオレフィン)潤滑下における摩擦試験を行った.紫外線照射がCNx膜表面の構造に及ぼす影響,及び種々の雰囲気下における摩擦特性に及ぼす影響を明らかにした. (1) AES分析により得られた各波長の紫外線照射によるCN_<0.09>膜のN/C比の変化を図1に示す.CN_<0.09>膜の極表面における窒素含有量は,紫外線照射により減少したことが明らかとなった.特に365nmの紫外線照射により,CN_<0.09>膜の表面から窒素原子の脱離が顕著に起きたことが明らかとなった. (2) 本研究では摩擦係数が0.05以下で安定するまでの期間をなじみのための摩擦繰り返し数と定義し,CN_<0.19>膜における各波長の紫外線照射後のなじみのための摩擦繰り返し数と照射時間の関係を図2に示す.いずれの条件においても,CN_<0.19>膜のなじみ過程は短縮され,最大で60%減少したことが明らかになった.安定して得られる平均摩擦係数も紫外線照射により減少し,312nmの紫外線を120min照射した場合,摩擦係数は0.01以下となった.
|
Research Products
(4 results)