Research Abstract |
当該年度では, 液体燃料噴霧の着火実験を行うための定容燃焼容器の設計・製作, および, 天然ガス自動車エンジン用のガスインジェクタを流用した既燃ガスジェットイグナイタの製作を行い, 評価を行うための実験システムを構築した. 液体燃料としてはエタノールを使用し, まず, 酸化剤側への微量水素添加が噴霧全体の燃焼に及ぼす影響を調べた. 初期充てん圧力, 水素添加濃度(1〜4vol%), 燃料噴射量, 燃料噴射から着火までのタイミング等をパラメータとし, それぞれの影響を, 高速度カメラによる火炎画像撮影, 圧力センサによる容器内圧力履歴の観測を行うことで検討した. 水素を添加しない場合, 容器内の燃焼圧力波形がばらつくことが多いが, 燃料の時空間的不均一性が大きく影響していると考えられる, 一方, 添加水素濃度を増大させると圧力履歴のばらつきが抑えられること, また, 最大過圧力, 最大昇圧速度も上昇し, かつ, これらのばらつきも減少する傾向となることが確認された. 次に, 副燃焼室で生成した既燃ガスジェットを, オリフィスを用いて主燃焼室に噴出させたものを燃料噴霧と対向させ, 燃料噴霧の着火状態を調べる実験を行った. その結果, 限られた条件の範囲ではあるが, 既燃ガスジェット着火法により, 着火および燃焼を促進させることができることが示された. いわゆる「体積的着火」に近い状態となっていた可能性がある. ただし, 副燃焼室のキャビティ容積やオリフィス径などを調整し, 既燃ガスジェットの吹き込み法を最適化することで, さらに広い範囲, 条件で着火・燃焼促進を実現できる可能性がある.
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