2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺井 慶和 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (90360049)
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Keywords | シリサイド半導体 / 希土類添加半導体 |
Research Abstract |
本研究ではSi/Er添加β-FeSi_2/Siダブルヘテロ(DH)構造から成る発光ダイオードを作製し、電流注入下での動作検証を最終目標と位置づけている。本年度はその第1段階の実験として、無添加DH構造の成長条件の最適化を行うとともに、イオンビーム合成(IBS)法によりEr添加β-FeSi_2を作製し、Er^<3+>発光特性を評価した。成長条件の最適化を行った結果、Si(100)基板上のSi/β-FeSi_2/Si DH構造のエピタキシャル成長に成功した。次年度、活性層をEr添加β-FeSi_2に変更することで、電流注入下でのEr^<3+>発光の評価を行う予定である。また、IBS法で作製したEr添加β-FeSi_2の発光測定では、β-FeSi_2のバンド間遷移に起因するブロードな発光とEr^<3+>の4f遷移(^4I_<13/2>-^4I_<15/2>)に起因するシャープな発光が同時に観測された。β-FeSi_2母体からEr^<3+>イオンへのエネルギー輸送効率の指標となるEr^<3+>励起断面積(σ)を求めたところ、Er添加β-FeSi_2ではσ=9×10^<-16>cm^2となりEr添加Siとほぼ同じ値を示した。また、77Kにおける発光寿命はEr添加β-FeSi_2で0.98msという値が求まり、Er添加Siでの発光寿命1.2msより短くなることが明らかとなった。以上のようにβ-FeSi_2中のEr^<3+>が1.5μmの発光中心として機能することを明らかにし、その励起プロセスがEr添加Siと同じ間接励起機構であることを示した。また、発光寿命がEr添加Siより短いことから、β-FeSi_2中のEr^<3+>は発光効率が向上していると示唆された。
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