2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760199
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺井 慶和 Osaka University, 工学研究科, 講師 (90360049)
|
Keywords | 鉄シリサイド / シリサイド半導体 / シリコンオプトエレクトロニクス / 変調分光法 / フォトリフレクタンス / エピタキシャル成長 / 分子線エピタキシー法 |
Research Abstract |
シリサイド半導体β-FeSi_2は、光通信波長である1.5μm帯に受・発光機能を示すシリコンオプトエレクトロニクス材料である。本研究では、β-FeSi_2の発光効率の向上を目指し、以下の2点に着目して研究を実施したので報告する。 (1) Er^<3+>添加β-FeSi_2の作製と、エネルギー輸送機構の解明。 β-FeSi_2エピタキシャル膜に、イオン注入法を用いて希土類元素であるErを添加した。そして、β-FeSi_2中のEr^<3+>イオンが1.5μm発光の発光中心として機能するか調べた。その結果、β-FeSi_2からEr^<3+>へのエネルギー輸送の存在を実証し、Er^<3+>が発光中心として機能することを明らかにした。また、Er添加Siとの比較から、イオン注入により発生する損傷が、Er添加SiよりEr添加β-FeSi_2で低減されることを見いだした。 (2) 変調分光法によるひずみ誘起バンドギャップエンジニアリングの検証。 β-FeSi_2の発光効率を向上させる方法として、ひずみによるバンド構造制御を試みた。β-FeSi_2へ適切なひずみを印加することにより、バンド構造が間接遷移型から直接遷移型へ変化するとの理論予測が存在するが、実験的に証明はなされていない。本研究では、Si基板とβ-FeSi_2エピタキシャル膜界面で生じるひずみにより、β-FeSi_2の直接遷移エネルギーが変化することをはじめて明らかにした。この成果は、ひずみ誘起バンドギャップエンジニアリングの可能性を示唆する結果であり、今後、ひずみの精密制御技術を構築することにより発光機能が飛躍的に向上できると期待される。
|