2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760227
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
菅野 敦史 National Institute of Information and Communications Technology, 新世代ネットワーク研究センター先端ICTデバイスグループ, 専攻研究員 (20400707)
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Keywords | マイクロ波・ミリ波 / ナノ光デバイス |
Research Abstract |
光波による高周波電界の検出を可能にする光電界センサについて、構造の最適化により高感度化を検討した。従来の電気光学(EO)効果を有する結晶を用いない半導体結晶を用いナノ構造による電界吸収効果を利用する原理を検討した。センサ構造としてGaAs/AlGaAs量子井戸構造を用い、量子閉じ込めシュタルク効果による電界増強現象を利用し、高感度化の数値計算を行った。10nmGaAs/AlGaAs量子構造では、従来EO結晶(比較対象はZnTe結晶)に比べ、単位厚さあたり1000倍程度の高感度化が実現可能であることが判明した。現実の構造作製では高品位な積層化が問題ではあるものの、近年のナノ構造作製技術の急速な進展により可能となるものと考えられる。 あわせて、当機構が開発した、EO効果を用いる2次元電界瞬時撮像技術である「電界カメラ」を利用し、光電界計測の新領域を切り開くことに成功した。 具体的には、ミリ波領域である100GHzの放射電界を瞬時に(1秒以下で)映像化することに世界で初めて成功した。昨今進展がめざましいミリ波技術素子の検査技術として有用であると考える。 また、世界で初めて進行電磁界を可視化することに成功した。EO結晶と進行電界および検出光波の配置を工夫することにより実現したものである。数値シミュレーション結果でしか想像できなかった電界伝搬の様子を直観的に観測できるため、メタマテルアル等新規物質の電界応答を実験的に明らかにすることが可能であると考える。 2次元分布の可視化技術を利用する、物質の複素屈折率・複素誘電率の非接触・瞬時面分布計測技術を開発した。従来は時間がかかっていた面分布の計測が瞬時にできるため、検査時間の大幅な短縮化がはかれるものと期待される。
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