2008 Fiscal Year Annual Research Report
磁性体を含む鉱山地域における磁界変動の地上・地中同時計測とその応用に関する研究
Project/Area Number |
20760268
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大久保 寛 Tokyo Metropolitan University, 東京システムデザイン研究科, 准教授 (90336446)
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Keywords | 磁界観測 / 鉱山地帯 / フラックスゲート磁力計 / 岩手・宮城内陸地震 / 地中観測 / 差分信号 |
Research Abstract |
本研究では, まず鉱山地帯における地上・地中の磁界同時計測のための計測システム構築を行った。本システムは, 機器のトラブルも無く無人観測を継続している。本観測システムの特徴は, 以下の通りである。(1)センサには数10Hzより低い周波数成分に着目するため, フラックゲート磁力計を用いている。(2)フラックスゲート磁力計は, 地上・地中とも全く同じものを用いている。(3)記録装置はそれぞれを独立の電源によって動作しているため, 電源系からの同期したノイズの影響が除かれている。(4)記録装置の時刻はGPSによって同期されている。(5)磁界変動信号ともに, 温度, 湿度, 大気圧, 電界, 加速度など多くの他の信号も観測しており, これらの信号との比較検討が可能である。 本研究期間中の2008年6月に本観測システムの設置地点からわずか26kmの地点でマグニチュード7.2の岩手・宮城内陸地震が発生した。これまで, 観測期間中に国内外でもこのような観測点から近距離における地震に遭遇したケースはほとんどなく, 非常に貴重で重要な観測データとなった。すなわち, 本地震の発生時において, 観測点においてP波の到達前に発震時刻と同時に変化する磁界変化の観測に成功した。関連学会で発表し, 地震発生時の磁界変動について報告を行うとともに, 継続してこの地震時の観測信号を解析中である。 また, この同時計測された磁界変動信号から得られる差分信号を利用する技術, 地中内の磁界変化を明らかにするための大規模電磁界計算コードを開発中である。
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