2008 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディアによる災害報道が住民の災害観に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
20760338
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金井 昌信 Gunma University, 大学院・工学研究科, 助教 (20375562)
|
Keywords | 防災計画・環境計画 / マスメディア報道 / 災害観 / リスク認知 |
Research Abstract |
本研究では, このような「災害対応に関する行政任せ」な態度が形成された原因の一つとしてマスメディアの影響があるとの仮説のもと, 個々の住民の災害対応に関する主体的な態度の形跡, 具体的な対応行動の実行を促すためには, 災害報道はどうあるべきかを検討することを目的とする. そして, 以上のような問題意識のもと, 平成20年度では, 以下の2つの研究をおこなった。 (1)過去に発生した災害を対象に, その災害に関するマスメディアの報道内容と被災住民の意識の関係を把握 : 2004年に発生した新潟豪雨災害を事例に, 新潟豪雨に関するマスメディアの報道内容と, 被災住民の被災原因等に関する意識を比較することから, 災害報道が視聴者に与える影響について検証した. その結果, 被災住民の多くは被災の自らの備え不足ではなく, 行政対応に不備にあったと考えていること, マスメディアによる報道内容は, 行政対応の不備を直接的に批判している記事は少ないものの, 災害時の行政対応に関する報道が非常に多く, 被災時の住民対応についての報道は非常に少なかったことが確認された.つまり, マスメディアが災害時行政対応に関する事実情報を多く発信している状況を見て, 被災住民は「災害対応は行政がやることもんなんた.ということはこれだけの被害が生じたのは行政がしっかり対応しなかったからだ」という意識がはたらき, 強い行政批判の態度が形成されたことが推察された. (2)災害に関する新聞記事を用いた心理実験の実施 : 行政対応の不備ばかりを指摘した新聞記事と, 被災時の住民対応の不備を指摘した記事を用意し, それらを情報として提供することによって, 災害対応に対する態度にどのような変化が生じるのがを把握する心理実験を設計し, 実施した. この結果, もともと災害対応に関して高い行政依存状態にあった被験者でも, 住民対応の不備をしてきした記事を読むことで, 依存心が低減することが確認された.
|