2010 Fiscal Year Annual Research Report
マスメディアによる災害報道が住民の災害観に与える影響に関する研究
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20760338
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金井 昌信 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20375562)
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Keywords | 防災計画・環境計画 / マスメディア報道 / 災害観 / リスク認知 |
Research Abstract |
マスメディアによる災害報道のあり方を検討し、わが国の地域防災力向上に寄与することを目的として、平成22年度は以下の2つの視点で研究を行った。 (1)住民の防災行政に対する依存を払拭するための情報提供戦略のあり方の検討 平成21年度において、情報の二面提示の有効性を検討することを目的とした情報提供実験を行った。具体的には、情報の受け手が元来有している態度を真っ向から否定する情報のみを提示した場合と、一度は受け手が有している態度に同意する情報を提示し、その上で新たな視点として追加的に説得するための情報を提示する場合(二面提示)の説得効果を比較し、後者の有効性を検証した。平成22年度は、この実験結果を詳細に分析することにより、適切な同意情報を提供することができた場合には、情報を二面提示した方が、説得効果が高いことが確認された。 (2)2010年チリ地震津波襲来時の対応を事例とした情報提供戦略のあり方の検討 平成22年2月27日のチリ沖を震源とする巨大地震が発生し、その翌日にはわが国の太平洋沿岸の広い範囲に津波警報が発表された。しかし、実際には避難を要するような津波が襲来しなかったため、警報を発表した気象庁は謝罪と予測精度の見直しすると会見した。この事例を対象に、行政や研究者等の防災の専門家はマスメディアとどのように連携していくべきか?を検討すること目的とした情報提供実験を行った。その結果、科学的根拠に基づく客観的な事実を伝えるだけでなく、その情報の受け取り方に対する考えた方の変化(具体的には「警報がはずれて、逃げなくて良かった」ではなく、「警報がはずれて、津波が来なくて良かった」という考え方の変化)を促す情報を提示することで、住民の災害情報依存、行政依存を提言する可能性があることが確認された。
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