2008 Fiscal Year Annual Research Report
新たな河川環境管理を目指す林地からの微細有機物の動態および発生メカニズム解析
Project/Area Number |
20760365
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
松本 嘉孝 Toyota National College of Technology, 環境都市工学科, 講師 (40413786)
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Keywords | FPOM / 山地河川 / 水文現象 / 底性生物 / 水質汚濁 |
Research Abstract |
我が国の閉鎖性水域における環境基準達成率が依然として低い原因として, その潜在因子といえる懸濁態物質, 特に堆積性の微細有機物(FPOM)の動態把握の不足が挙げられる。そこで, 河川環境管理という視点から, FPOMの存在量に影響を及ぼすと考えられる水文要因および季節要因との関係解析を本研究目的として挙げる。 本年度は, 調査を愛知県豊田市の矢作川支流巴川の東大見地区に設置した。ここは源流より約10km下流の地点で, 集水面積は28km^2であり, その9割以上を森林が占めている。調査地点の下流100mには発電用の堰が設けられている。 その調査地において, FPOMの堆積量およびDOM調査を2008年8月から本格的に開始し, 1ヶ月に2回程度調査を行った。2009年10月からはCPOM, 12月からはFPOMよりも粒子径の小さいSFPOMの調査も開始した。採取したFPOMは実験室に持ち帰り, FPOM等の堆積量を測定すると共に, C/NコーダにてFPOMの構成成分の調査も行った。同時に水位計も設置し, 河川水位を1時間毎に取得する体制を整えた。 その結果, 8/31は前日に98mmの降雨があり, FPOM量は0.18g/m^2と大変少なくなっていたが, その後は増減しながらも増加を続け, 11/12には4.87g/m^2と約27倍まで増加した。その間の水深は徐々に減少したため, FPOMが増加したのはFPOMの流出がなかったためだと考えられた。しかし, その後は徐々に減少し, 1/14では1.83g/m^2となった。その間の水深はほぼ一定であることから, 水文因子以外でFPOM量が変動していることが示唆され, 9/3より12/4までのFPOMのC/Nは9/3より徐々に低下しているため, FPOMが生物的に分解されていることが影響していると思われる。 このことから, 河床に堆積するFPOM量は8月から11月の降水量が少ない時期にかけて増加することがわかった。そしてその堆積量に影響する要因として, 上流からのFPOMの供給が考えられた。しかし, 12月以降の冬の間では, 水文以外に生物的分解がFPOM堆積量に影響を及ぼしていると考えられた。
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Research Products
(1 results)