2009 Fiscal Year Annual Research Report
雪国おける建築物の雪害リスクマネジメントに関する研究
Project/Area Number |
20760383
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Research Institution | Hokkaido Northern Regional Building Research Institute |
Principal Investigator |
堤 拓哉 Hokkaido Northern Regional Building Research Institute, 環境科学部・都市防災科, 研究職員 (40462345)
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Keywords | 建築物 / 雪害 / リスクマネジメント / リスク評価 / 吹雪 / 吹きだまり / 雪庇 / 着雪 |
Research Abstract |
研究計画に基づき今年度は(1)雪害発生要因の影響度の解析および(2)雪害による損失の定量化について検討を行った。(1)では、はじめに解析データ整備のため全国の豪雪および特別豪雪地帯に指定されている24道府県542市町村の雪対策担当者を対象に雪害に関するアンケート調査を行い各市町村別の雪害発生状況に関する資料を得た。次にこれらと気象要素(平均気温、日降雪深など)との関係について統計的解析を行った。その結果、平均気温の低下に伴い雪害が増加する傾向にあること、日降雪深の変動係数が0.2~0.3の市町村において雪害発生が多いことを明らかにした。また雪害発生と社会条件との関連を調べるため、各市町村の人口、高齢化率、財政力指数との関係について解析した。その結果、財政力指数が低く高齢化率の高い市町村において雪害が多く発生する傾向にあることが明らかになった。(2)では、先ず過去の豪雪災害記録の分析を行い雪害の数量的把握を行った。その結果、近年の豪雪害では建物倒壊などの建築物被害は減少傾向あるが、建物周囲での人身事故が極めて多いことが明らかになった。これは建物の構造的な性能は向上しているものの、高齢化や除雪・雪下ろしの負担増が影響していると考えられる。次に雪害による行政的コストを把握するため(1)と同一のアンケート調査結果を分析した。その結果、各市町村における建築物の雪対策は、建築計画に関する建築指導、落雪事故等の注意情報の提供、住民への啓発活動など多額のコストを要しない対策が中心であることが明らかになった。加えて雪害による損失の定量化については、アンケート等の直接的に数量を把握するアプローチではなく、統計情報で把握されている死傷者や建築被害を金銭化する手法および雪害に伴う除雪負荷増大を金銭的に評価する手法の構築が必要であることが示された。
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Research Products
(2 results)