2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760386
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
桑原 浩平 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (40374582)
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Keywords | 建築環境・設備 / 人間生活環境 / 熱中症 / 平均皮膚温 / 暑熱順化 / 着衣のぬれ / 発汗量 / 暑熱環境 |
Research Abstract |
本研究では,心肺能力や暑熱順化等の個人特性が人体生理状態に及ぼす影響を文献調査と被験者実験により明らかにし,個人差を考慮した人体生理量予測モデルを開発することを目的としている。平成21年度は,暑熱馴化の有無が温熱性発汗及び心拍数,体内温度上昇に与える影響を,筆者らが開発した平均皮膚温予測モデル式を用いることにより定量的に検証することを目的とした。 既往の諸実験データとして,実験時間が40分以上のものを選定し,暑熱馴化後は室温35℃以上の高温環境で6日以上馴化を行ったものを選定した。暑熱馴化後の特性を,横軸を平均皮膚温,縦軸を蒸発熱流密度とした図(椅座時,3met時)より比較した。いずれも暑熱馴化後は平均皮膚温が体内温上昇の臨界皮膚温35~36℃を超える辺りから蒸発熱流密度が急上昇し,平均皮膚温予測モデル式で適用している平均的な発汗能に対し約2倍の発汗能を有することが読み取れた。 次に,暑熱馴化が着衣のぬれに及ぼす影響を把握するために,温熱環境試験室にて被験者実験を行った。成年男性3名の被験者に代謝量3.96met,外部仕事0.83metの自転車エルゴメーター運動を90分間行わせた。室温は20~35℃,相対湿度は約45%とした。また35℃,60%の環境で自転車エルゴメーター運動を6日間(1時間/日)行い,暑熱馴化させた。実験の結果,直腸温,心拍数どちらも暑熱馴化後に減少していることから,暑熱馴化トレーニング前後に有意な差が存在すると考えられた。発汗量は暑熱順化トレーニング前後に差は見られなかった。全発汗量に対する着衣重量の増加量の割合は暑熱馴化前後で顕著な差はみられず,無効発汗の約56%が着衣に残る結果となった。この結果から着衣のぬれに伴い残りの44%が体温調節に寄与する有効発汗として蒸発したものと仮定し有効発汗増加率0.44として予測モデルに導入した。平均皮膚温モデル式の予測値と実測値を比較した結果,良く一致することが示された。
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Research Products
(2 results)