2010 Fiscal Year Annual Research Report
横須賀製鉄所・造船所におけるフランス系建設技術の導入に関する基礎的研究
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20760435
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Research Institution | The Yokosuka City Museum |
Principal Investigator |
菊地 勝広 横須賀市自然・人文博物館, 横須賀市自然・人文博物館, 学芸員 (80321892)
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Keywords | 横須賀製鉄所 / 横須賀造船所 / 建築史・意匠 / 技術史 / 国際貢献 / フランス海軍 / 技術移転 / 横須賀市 |
Research Abstract |
当該年度の研究では、フランスでの資料収集並びに収集済み資料の整理分析を実施した。 資料分析作業では、主に、1873年にフランスで刊行された海事雑誌記事「Ports et arsenaux l'arsenal de Yokoska」の翻訳と分析を進め、その成果を当館刊行物や日本建築学会の研究報告集にまとめて報告した。そこには、木骨煉瓦造採択の背景、地盤特性の認識と構法選択の実態、建設材料の全体像、フランス人による日本産木材研究の成果を表す技術的記述など、日本の近代建築技術史研究で重要な事項が含まれている。その他、新たに経歴やフルネームが判明したフランス人技師についても同書に併せて報告した。この他、横須賀製鉄所における煉瓦製造技術の源流の多くがブレスト海軍工廠にあった事が判明しつつあり、今後、日本建築学会へ発表予定である。 資料収集作業では、フランス防衛資料館(service historique de la defense)所蔵の横須賀製鉄所資料群の収集に努めた。この他、エコール・ポリテクニックの資料館で首長ヴェルニー、副首長ティボディエの資料を収集した。また、軍港の比較調査としてフランス最大の海軍工廠を擁するツーロン港を調査した。建設の与条件となる地形は、横須賀市より呉市と類似する印象で、建築技術については、フランス第二の軍港都市ブレストに比して煉瓦造建築が多く、横須賀製鉄所副首長官舎の基礎と同様の石積み技法も確認された。フランス人技師の子孫の面会調査では、副首長ティボディエ直系の子孫の協力により、首長ヴェルニー、同副首長ティボディエ、同会計課長のモンゴルフィエの10家族以上の子孫と面会し、当初計画以上の成果が上がった。子孫宅での資料調査では、これまで未発表のものを含む幕末・明治期の横須賀製鉄所の写真集や多くの文献資料を複写する事が出来た。加えて、ヴェルニー家所蔵資料の多くが地元のアルデシュ県立公文書館(Archives departementales de l'Ardeche)に開架されており、これを併せて、撮影点数で1万点を超える子孫伝来資料の複写を行った。
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Research Products
(6 results)