2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760447
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小島 隆 Chiba University, 大学院・工学研究科, 助教 (70333896)
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Keywords | セラミックス / 複合材料・物性 / フェライト / 自己複合化 / 微構造制御 |
Research Abstract |
本研究では、自己複合化手法を用いたコンポジットの作製時において、原料粉体が複合構造に与える影響を調べるとともに、セラミックス系コンポジットの機械的性質改善を目的とした。作製対象としては、ジルコニア/Baフェライト系およびジルコニア/Baヘキサアルミネート系コンポジットを選択した。 Baフェライト系においては、均一かつそれぞれ粒径を制御したヘマタイト粒子と炭酸バリウムの混合粉末、共沈法により調製したBaフェライトと同組成を有するアモルファス粉体を第二相の原料として用いた。ジルコニア粉末と、第二相の原料粉末を混合して成型・焼結を行うことによりジルコニア/Baフェライトコンポジットの自己複合化を試みたところ、反応性の高いアモルファス粉末と、反応性が比較的低い炭酸バリウムとヘマタイトの混合粉末を系内に共存させることにより、粒径およびアスペクト比の制御を可能とし、機械的性質の向上も達成した。 ジルコニア/Baヘキサアルミネート系においても、第二相の原料としてBaヘキサアルミネートと同組成を有するアモルファス粒子を用いてコンポジットを作製した。その結果、高温下で安定性の高いヘキサアルミネート相に関しては、Baフェライト系と異なり、アモルファス粉体からの結晶化後はほとんど拡散しないことが明らかとなった。そこで、第二相の原料として微細なアルミナ粒子と炭酸バリウムの混合粉末、アモルファス粉体を同時に用いたところ、アモルファス粉体から生成したヘキサアルミネートを核とし、さらにアルミナ・バリウムが拡散することによって、ジルコニア中におけるヘキサアルミネート結晶の粒径・アスペクト比を増大させることが可能となり、コンポジットの機械的性質の改善も達成できた。 本研究の成果は、セラミックス系コンポジットの新たな構造制御手法が得られたとともに、その機械的性質改善も可能とした意義の大きなものとなった。
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