2008 Fiscal Year Annual Research Report
Ti合金に匹敵する高比強度特性を有するFe3Al基耐熱合金の開発
Project/Area Number |
20760461
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 覚 Tohoku University, 金属材料研究所, 助教 (60455847)
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Keywords | 耐熱材料 / 軽量化 / ユビキタス元素 / 金属組織学 / 金属間化合物 / 加工熱処理 |
Research Abstract |
本研究は、航空機タービン用低圧ブレード、コンプレッサ等の高温回転体に使用されるTi合金や耐熱鋼に替わる高比強度Fe_3Al基耐熱合金の開発の一環として行うものである。申請者はこれまでにFe_3Al鋳造バルク材の温間加工・熱処理プロセスによる結晶粒微細化を世界に先駆けて達成し、Ti合金と同等の引張高比強度を発現させた。本研究では、600℃以下で使用される高温回転部材に特に要求される引張特性と疲労特性の粒径依存性、600℃までの高温引張特性と組織の形態安定性を調べ、高比強度Fe_3Al基耐熱合金の設計指針を確立する。本年度では、設定した4つのサブテーマのうち、以下の2つのテーマに取り組んだ。 1. 結晶粒微細化による高靭性化のメカニズムの解明 2. 高・低サイクル疲労特性に及ぼす粒径微細化の効果 1. では、結晶粒微細化が可能な第2相(K-Fe_3AlC)を含む合金を用い、再結晶粒組織と回復粒組織において室温引張特性の粒径依存性を調べ、以下の結果を得た。 (1) 結晶粒微細化により、両組織において伸び及び引張強度が向上するが、降伏強度は余り変化しない。 (2) 再結晶粒よりも回復粒が高い伸びと強度を示す。 (3) 回復粒組織の高延性はその集合組織に起因する。(4) 微細化による高延性化は水素脆化の軽減によるクラック発生の遅滞に起因すると推察されたが、集合組織、第2相の形態による影響についてさらなる検討が必要である。 2. では、再結晶粒、回復粒それぞれに対し3水準の粒径を有する疲労試験片を準備し、疲労強度 (50万サイクルの疲労に堪える強度) に及ぼす粒径と組織の効果を調べ、以下の結果を得た。 (1)疲労強度は結晶粒径微細化に伴い増加し、再結晶粒に比べて回復粒組織において高い値を示した。 (2) 30μm以下の粒径を有する回復粒材は750MPaという非常に高い疲労強度を示し、比強度レベルもTi-6Al-4V合金に匹敵する値 (110MPa/g/cm^3) を示した。(3) 疲労寿命の大半はクラック発生までの過程が占める。
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