2009 Fiscal Year Annual Research Report
固液界面を反応場として用いた有機結晶成長の完全制御と電子デバイスへの応用
Project/Area Number |
20760485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吹留 博一 Tohoku University, 電気通信研究所, 助教 (10342841)
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Keywords | 有機結晶 / グラフェン / 電子デバイス |
Research Abstract |
高いキャリア移動度を有する有機結晶(ルブレン、グラフェン等)の製造およびそれを用いた電子デバイスの高性能化は、注力して行うべき研究分野である。このような研究背景から、申請者は、本若手研究(B)において、固液界面を反応場として用いて、有機結晶の成長制御及び結晶表面の構造評価を行うことを本研究の目的として設定している。本年度は特に、炭素原子の網の目状にsp2炭素原子が二次元ネットワーク配列しているグラフェンに注目して研究を行い、有機結晶の構造と電子物性との関係を明らかにし、高性能な有機電子デバイスの設計指針を得ることとした。本年度は、有機結晶(特にグラフェン)の結晶成長と評価を行うために、下記の具体的な研究項目の検討を行った; (1)グラフェンの結晶成長の機構解明:成長のパラメータとして、(a)成長温度(b)基板面方位の二点に注目した。その結果、(a)成長温度の最適化に成功し、グラフェンの高品質化成功した。また、(b)基板面方位について、Si(111)面・Si(100)面・Si(110)面上のSiC薄膜の最適化を行った上で、それぞれの表面上にグラフェンをエピタキシャル成長させることに成功した。その結果、面方位によりグラフェンの界面構造を変調させることが可能なことを、X線光電子顕微鏡(XPS)及び低速電子線回折(LEED)により原子レベルで明かにした。 以上の得られた成果は、グラフェンを用いた電子デバイスの実現を大きく前進させるものであり、beyond CMOS材料としてのグラフェンの有用性を示した初めての成果である。
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