2010 Fiscal Year Annual Research Report
微細ナノ粒子および粒界性格分布に注目した摩擦攪拌接合材の異常粒成長抑制機構の解明
Project/Area Number |
20760502
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Research Institution | Industrial Research Institute of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
平田 智丈 大阪府立産業技術総合研究所, 機械金属部, 研究員 (20359433)
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Keywords | 結晶・組織制御 / 粒界性格分布 / 摩擦攪拌接合 / 結晶粒径 |
Research Abstract |
本研究テーマは、摩擦攪拌接合材において高温保持時に発生する、接合部組織の異常粒成長現象に関するものである。本研究期間の最終年度にあたる平成22年度は、当初の実施計画通りに、粒成長のメカニズムを解析するために、摩擦攪絆接合部の組織形成に及ぼす不純物元素、あるいは、添加元素の影響を中心に調査した。不純物元素の影響においては、アルミニウムの組織形成における純度の影響について非常に有益な知見が得られ、学術的にも評価され、ジャーナルへ掲載された。また、結晶粒径に及ぼす添加元素の影響においても、定量的に評価することに成功し、この成果も学術的に非常に評価され、本研究において非常に重要なデータとなった。以上のように、本研究の目的を達成するために、研究期間内に十分な成果が得られ、摩擦攪拌接合材の異常粒成長の抑制方法の解明に結びつく有益な知見が多く得られた。これらの成果は、摩擦攪拌接合技術の安全性・信頼性の向上に大いに寄与すると考えられ、摩擦攪拌技術の更なる実用化普及が期待できる。 一方で、これらの成果は、摩擦攪拌接合材に限定し活用されるものではなく、アルミニウム材料を工業材料として適用する際に、非常に有益なデータになり得ると考えられる。結晶粒の微細化は、金属材料のじん性向上を目的として採用される最も有効な手段の一つである。したがって、本研究において、他の加工熱処理プロセスをふまえて包括的に結晶粒形成メカニズムを解析したことで、再結晶ならびに粒成長において学術的に非常に重要となるデータの構築に成功し、今後は新規材料創製においても大いに役立つと考えられる。以上のように、本研究で得られた成果は、社会貢献度も非常に大きく、安心・安全な社会構築に向けて大変意義のある研究成果であると考えられる。
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