2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨視的弾性条件下の疲労き裂発生・伝播寿命推定システムの確立に関する研究
Project/Area Number |
20760562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堤 成一郎 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 助教 (70344702)
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Keywords | 疲労 / 繰返し塑性 / 巨視的弾性 / 弾塑性 / ダメージ / 構成式 |
Research Abstract |
本年度は、まず前年度までに開発した任意の巨視的弾性繰返し応力下で計測される疲労現象を予測可能な構成式のプロトタイプを拡張することを目的とした。具体的には、二段変動荷重下における応力ひずみ挙動を予測し得るように加工硬化則およびダメージ則を改良し、その適用範囲の拡大をはかった。また、巨視的弾性を含む任意の繰返し応力下での疲労き裂の発生と、その後の伝播挙動を予測可能な寿命推定システムの確立を目的として、巨視的降伏以前の応力(巨視的弾性)状態で発生する塑性ひずみを各種条件下で計測した。また、材料に蓄積される塑性仕事と疲労き裂発生時期の相関に注目して、疲労き裂発生規準を確立することにより、疲労き裂発生までの寿命予測システムの確立を目的として研究を行っているが、そのプロトタイプの適用範囲を大幅に改良できた。さらに、巨視的弾性条件下での塑性ひずみ成長挙動および塑性ひずみ顕在化のメカニズムの解明を目的として、bcc結晶塑性モデルを導入した繰返し載荷条件下でのFE解析を行った。これにより、巨視的弾性条件下の一定荷重下でも微細な塑性ひずみが発生および累積し、巨視的な塑性状態へ移行する現象が予測された。本解析により、金属材料の軟化挙動発現のメカニズム解明の糸口が得られたと考えている。今後は、より多くの条件下での塑性ひずみ顕在化現象を高精度に計測し、さらに結晶塑性FE解析結果との比較を通じて、そのメカニズムを解明することにより、疲労寿命予測システムの高精度確立を行うことが望まれる。なお、本研究は構造物の安全性を確保しつつ、合理的かつ経済的な設計を可能にするための先進的な研究であり、新規構造物に限らず、既存構造物の余寿命の診断にも適用できることを目的に行っている。
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