2008 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエにおけるebony遺伝子多型と交配相手選好性の関係について
Project/Area Number |
20770007
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
高橋 文 National Institute of Genetics, 集団遺伝研究系, 助教 (90370121)
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Keywords | 種分化 / ebony / 昆虫 / 多型 / 上流解析 / 多面発現 / 交尾行動 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
本研究の目的は、ebony遺伝子の5領域の変異が交配相手選好性に直接関与しているかどうか、またそれはどのような組織の発現を通して起こっているのかを実験的に明らかにすることである。H20年度は、遺伝子上流領域のうち、上述の変異のある部位を含む約900bpをGa14につないで形質転換した系統をUAS-GFP系統とかけあわせ、そのエンハンサー活性を調べる実験を行なった。その結果、羽化直後の成虫について胸部三叉模様の色素沈着パターンがあらわれる部位に発現を誘導する活性があることが強く示唆された。現在、複数の形質転換系統による結果の確認と空のベクターによるコントロール実験を行っている。また、ebony遺伝子は、神経系でも多面発現することが知られており、ebonyの遺伝子の胸部での発現量が異なる系統について、脳での発現量に違いがあるかどうかを調べる実験を進めている。これは、これらの系統のF1雑種でのcDNA量を比較するという方法で、パイロシークエンサーを用いて行った。更に、ebony遺伝子の脳内での発現量が下がると、ドーパミンの相対量が上がり交尾行動に影響が出ることが知られているため、ELISA kitを用いて脳内のドーパミンをはかるための予備実験を行った。その結果、脳のサンプルを丁寧に準備すれば検出範囲内でドーパミン量を測ることができることがわかった。 H21年度以後は、これらの成果をもとに、上述の形質転換体を用いた行動実験も進めていきたいと考えている。また、当初計画になかったゲノム内の同じポジションにtransgeneを挿入できるphiC31というシステムについても本研究の中に取り入れていくことを計画している。
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Research Products
(4 results)