2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロミクスとフォーカスドプロテオミクスに基づく植物硫黄同化機能ユニットの解明
Project/Area Number |
20770027
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 尚子 Chiba University, 大学院・薬学研究院, 助教 (10415333)
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Keywords | メタボロミクス / フォーカスドプロテオミクス / 蛋白質間相互作用 / 硫黄代謝 |
Research Abstract |
植物は無機硫黄から多様な有機硫黄化合物を合成する硫黄同化系を有する。これまでの研究から、硫黄同化系の各酵素反応段階は活性や局在等の性質が異なる複数の酵素アイソザイムが仲介することが示唆されているが、酵素間の相互作用についての知見は少ない。本研究では、連続した酵素反応段階を仲介する複数の酵素タンパク質が相互作用することで代謝反応の効率化や活性制御を行っている可能性を想定し、モデル植物シロイヌナズナを用いて以下の解析を行った。硫黄同化の最初の反応段階を仲介するATPスルフリラーゼ(4アイソザイム)、硫酸化代謝物の生合成のために必要な硫酸基供与体である3'-ホスホアデノシン-5'-ホスホ硫酸を合成するAPSキナーゼ(4アイソザイム)、システイン合成のための炭素骨格である0-アセチルセリンを供給するセリンアセチル転移酵素(5アイソザイム)、硫化物イオンと0-アセチルセリンからシステインを合成するシステイン合成酵素(9アイソザイム)に着目し、これらの酵素の植物体内における局在を解析した。また、これらの酵素をコードする遺伝子が破壊された変異体植物について酵素活性解析および代謝物分析を行った。その結果、各酵素反応段階において、反応への寄与率の高いアイソザイムが特定できた。ATPスルフリラーゼとAPSキナーゼ、また、セリンアセチル転移酵素とシステイン合成酵素はそれぞれ連続した酵素反応を仲介する二酵素であるが、ATPスルフリラーゼとAPSキナーゼについては反応寄与率の高いアイソザイムの細胞内局在性は一致したが、セリンアセチル転移酵素とシステイン合成酵素については反応寄与率の高いアイソザイムの細胞内局在性はそれぞれ異なっており、0-アセチルセリンが細胞小器官間輸送を受ける可能性が示唆された。次年度は細胞内局在性が同じ酵素タンパク質間における物理的相互作用の有無を検討する。
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