2009 Fiscal Year Annual Research Report
道管分化マスター因子が制御する下流遺伝子発現機構の解析
Project/Area Number |
20770041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 雅利 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (20373376)
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Keywords | 植物 / バイオマス / 遺伝子 / 発現制御 / 転写因子 / NACドメインタンパク質 |
Research Abstract |
私たちは、これまでに道管細胞への分化を決定するNACドメインタンパク質をコードするVND6(Vasucular-Related NAC-Domain6)、およびVND7が、道管細胞への分化を決定するマスター因子であることを明らかにした。そこで、本研究では、これらのマスター因子が直接発現を制御する標的遺伝子を同定し、その制御機構を分子レベルで明らかにすることを目的として研究を行っている。昨年度はまず、VND6、VND7にグルココルチコイドレセプター(GR)を融合させた過剰発現体を作成した。そして、マイクロアレイ解析を行い、直接発現が制御されると考えられる50以上の候補遺伝子を同定した。今年度は得られた候補遺伝子の中から複数のプロモーター領域を用いてトランジェントアッセイを行ったところ、多くのプロモーターについてVND7によりレポーター遺伝子の発現が上昇することが明らかとなった。XCP1遺伝子についてはVND7により発現が制御される領域を約100bpに絞り込んでおり、そこでこのXCP1プロモーターにVND7が直接結合するか、ゲルシフト解析により検証した。その結果、このXCP1プロモーター領域には少なくとも2カ所の結合領域が存在することが明らかとなった。私たちはこれまでにVND7と相互作用する遺伝子としてVNI2を単離している(山口ら、投稿中)。VNI2の役割を突き止めるために、VND7に制御される遺伝子のプロモーターを用いたトランジェントアッセイを行ったところ、VNI2はVND7の転写活性能を著しく抑制することが明らかとなった。このことから、VNI2はVND7と結合し、活性を抑制することで、道管分化を負に制御していることが明らかとなった(山口ら、投稿中)。
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