2008 Fiscal Year Annual Research Report
トカラ列島におけるクワガタムシ科甲虫相の形成史に関する研究
Project/Area Number |
20770069
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
細谷 忠嗣 Kyushu University, 大学院・比較社会文化研究院, 助教 (90467944)
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Keywords | クワガタムシ科 / トカラ列島 / 生物地理学 / 遺伝的多様性 / 分散 |
Research Abstract |
火山活動によって形成されたトカラ列島各島嶼へのクワガタムシ科甲虫の侵入経路や侵入時期などを明らかにするための第一歩として、トカラ列島の各島嶼およびその周辺地域における現地採集調査を行った。まず、村条例により昆虫採集が禁止となっているトカラ列島を管轄する十島村から調査許可を取得して、口之島、中之島、諏訪之瀬島、悪石島、宝島の主要5島について約2週間をかけて現地調査を行い、分子および形態解析に用いる各種クワガタムシ科甲虫のサンプル採集を行った。また、トカラ列島の各島嶼との比較を行うサンプル確保のために、本列島の南北に位置する地域、つまり北側に位置する九州南部の鹿児島県薩摩地域、および南側に位置する奄美諸島の奄美大島と徳之島を調査し、解析用の各種クワガタムシ科甲虫のサンプル採集を行った。 さらに、今年度に採集した各種クワガタムシ科甲虫のサンプル、およびこれまでに収集してきたサンプルを用いて、比較形態学的解析と分子系統学的・分子集団遺伝学的解析を開始した。比較形態学的解析として、まずトカラ列島のタカラヒラタクワガタとの比較に用いる九州および周辺島嶼のヒラタクワガタ4亜種について外部形態の計測を行った。また、分子系統学的・分子集団遺伝学的解析として、新たにトカラ列島とその周辺地域のサンプルのDNA抽出を行い、これまでにも塩基配列を決定してきたミトコンドリアDNAの16SrRNA遺伝子の塩基配列を追加決定し系統解析を行った。また、トカラ列島の島嶼間の詳細な差異を検出するためのミトコンドリアDNAのチトクローム酸化酵素サブユニット1(COI)遺伝子についても塩基配列の決定を開始している。今年度中に決定予定だった分子系統学的・分子集団遺伝学的解析のための核遺伝子領域であるが、効率よくPCRにより目的領域の増幅が行えるプライマーセットが見いだすことができなかった。
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Research Products
(7 results)