2008 Fiscal Year Annual Research Report
先島諸島の鳥類を用いた『島の規則』成立メカニズムの解明
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20770070
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Research Institution | Yamashina Institute for Ornithology |
Principal Investigator |
山崎 剛史 Yamashina Institute for Ornithology, 資料室, 研究員 (70390755)
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Keywords | 進化 / 島の規則 / 鳥類 / 先島諸島 / 体サイズ |
Research Abstract |
本年度は、先島諸島内で顕著な体サイズ変異を示すハシブトガラスについて、個体群密度や利用環境の島間変異の実態を解明するため、野外調査を実施したまず、調査地を選定するため、7月に石垣島・竹富島・波照間島・小浜島・西表島・黒鳥・伊良部島・下地島を訪れた。その際、各島において、DNA解析用の資料として、換羽によって脱落したカラスの羽毛サンプルの採集をあわせて行った。この予備調査の結果をふまえて、1月には伊良部島・下地島・小浜島・黒鳥を訪れ、集団ねぐらを囲い込むことにより、各島に生息するカラスの個体数の推定を試みたほか、ラインセンサスを実施して、各種の環境ごとの生息密度の違いや行動の違いについてもデータを収集した。また、2月には、同様のラインセンサスを竹富島・波照間島・石垣島・西表島でも実施した。個体数の推定については、本州のカラスに関する先行研究の結果に基づいて、冬期に集団ねぐらの規模が大きくなることを予想して計画を立案したが、実際には先島諸島のカラスのねぐらは冬期でもあまり大きくならず、かなりの数のねぐらが島内に分散して存在したため、囲い込みによるカウントが困難であり、本年度は良い推定値を得ることができなかった。一方、利用環境の調査については、環境ごとのカラスの出現頻度、地上滞在頻度のパターンが島によって大きく異なっていることが明らかになるなど、成果が上がった。このほか、本年度には、保有するハシブトガラスの組織サンプルを利用してmtDNAコントロール領域の前半部約300bpの塩基配列の決定実験を進めた。その結果、波照間島集団には固有のハプロタイプが見られること、先島諸島と台湾の集団のあいだには遺伝的な違いがほとんど見られないことなどがわかってきた。
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