2008 Fiscal Year Annual Research Report
咽頭弓内胚葉由来の器官形成における新規転写抑制共役因子の機能解析
Project/Area Number |
20770188
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Research Institution | National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities |
Principal Investigator |
大久保 直 National Institutes of Natural Sciences Okazaki Research Facilities, 岡崎統合バイオサイエンスセンター, 助教 (10450719)
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Keywords | マウス / 咽頭弓 / 転写制御 / T-box / Ripply3 / 胸腺 / 副甲状腺 / 心臓血管系 |
Research Abstract |
脊椎動物の体は、胚発生の段階で体節や咽頭弓といった分節性や繰り返し構造を持つ組織が現れ、その分節構造が正常な器官や組織構築に重要だと考えられている。近年、我々の研究室で単離された新規遺伝子ファミリーRipply(Ripply. 1, 2, 3)のうち、Ripply3は、胚生期の咽頭弓に強く発現することを見いだした。Ripply3の機能はこれまでにほとんど解析されていないことから、Ripply3, ノックアウト(KO)マウスを作製し、その表現型を解析した。 その結果、Ripply3KOマウス胚では、特に第3、4咽頭弓の形成が以上となり、さらに発生が進むと第3、4咽頭弓内胚葉から派生する胸腺、副甲状腺および鰓後体の形成異常が観察された。これらの器官は恒常性維持に必須であり、Ripply3が咽頭弓派生器官の発生に重要であることが示唆された。さらに、Ripply3 KOマウス胚では、心臓血管系にも重篤な異常が観察された。特に、咽頭弓の形成不全が原因により、咽頭大動脈の異常なリモデリングが起こり、背側大動脈と心臓流出路を構成する大動脈の正常な形成が著しく阻害されることが分かった。その影響で新生仔はチアノーゼを呈し、生後まもなく致死となることがわかった。また、Ripply3はニワトリ胚でも似たような発現パターンを示すことから、種を越えて保存された機能があると推察される。さらに、Ripply3は、咽頭弓で発現するTbx1の転写活性を量依存的に抑制することが明らかとなった。 現在、cre/IoxPシステムを利用した組織特異的なRipply3過剰発現のトランスジェニックマウスを作製しており、これらを用いてRipply3の機能をより詳細に明らかにしていく。
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