2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトのライフヒストリーの進化史の解明:人骨研究からの新しいアプローチ
Project/Area Number |
20770197
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長岡 朋人 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 講師 (20360216)
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Keywords | 古人骨 / 生活史進化 / 生物考古学 / 人口学 / 形態 / 計測 / カットマーク / 鎌倉 |
Research Abstract |
1.頭蓋計測学的研究:古人骨の形態学的研究は,当時の人々の姿かたちを明らかにし,日本人の身体形質の時代的な移り変わりや地域間変異を理解する手がかりになる。近畿地方では古人骨資料の出土例や報告がきわめて少なく,近世やそれ以前における地域間変異を実証した研究は皆無に等しい。本研究の目的は,まず,大阪府堺市から出土した近世人頭蓋の計測を行い,近畿地方の近世人頭蓋の計測的特徴を明らかにすることと,次に,近世における頭蓋形態の地域間変異を検討することである。資料は,堺市の堺環濠都市遺跡から出土した32体,向泉寺跡遺跡から出土した2体の成人男性の頭蓋である。本研究の結果,堺近世人は関東地方や北部九州・山口地方の近世人よりも短頭傾向が強かった。また,顔面が狭く,頭蓋全体の高さが高い傾向があり,現代人的な特徴を示した。今回の結果から,近畿地方の近世人頭蓋は他地域とは異なる形態的特徴を持っていたと推測される。 2.古人骨の性別判定法の研究:四肢長骨の周径から保存状態が悪い古人骨の性別判定を試みた。上腕骨・尺骨・橈骨・大腿骨・脛骨の骨体周径は,保存状態の悪い人骨でも計測が可能であり,性別判定において高い的中率が期待できる。あらかじめ骨盤によって性別が明らかな古人骨を資料とし,四肢長骨計測値に基づく性別判定法を求めた。上腕骨・尺骨・橈骨・大腿骨・脛骨の諸周径から判別式を算出した結果,1項目だけの判別式でも90.2%の的中率を示した。また,複数の計測項目から求めた判別式の場合にはより高い的中率が得られた。 3.古人骨に見られる殺傷痕の研究:鎌倉市から出土した中世人骨の殺傷痕について電子顕微鏡観察・記載・同定をした。
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Research Products
(4 results)