2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトのライフヒストリーの進化史の解明:人骨研究からの新しいアプローチ
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20770197
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
長岡 朋人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20360216)
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Keywords | 古人骨 / カットマーク / 頭蓋計測 / 古人口学 / 鎌倉 / 江戸時代 / 中世 / ペルー |
Research Abstract |
1.江戸時代人骨の頭蓋計測:本研究は、都立一橋高校地点遺跡から出土した江戸時代人骨の頭蓋計測的特徴を報告した。一橋高校地点遺跡は、東京都千代田区東神田に位置し、江戸時代前期から中期にかけての寺院跡である。1975年の発掘調査により人骨が出土し、出土状況や副葬品から一般庶民の人骨と考えられた。本研究で用いた資料は、聖マリアンナ医科大学解剖学教室所蔵の成人男性51体、成人女性22体の頭蓋であり、いずれも17世紀後半の人骨である。比較資料は、縄文時代から近代にかけての、時代、社会階層が異なる古人骨集団であり、本研究の頭蓋計測値と比較することで、本資料の頭蓋計測的特徴を明らかにした。その結果、一橋高校出土人骨は長頭傾向があり、室町時代人にもっとも類似することが分かった。その長頭傾向は、江戸時代の中後期の人骨と比較しても著しかった。本研究の結果は、江戸時代の遺跡によって頭蓋形態に多様性があることを示唆し、その多様性は社会階層や江戸時代内の時期差に関連すると推察された。 2.ペルー、パコパンパ遺跡から出土した人骨の生物考古学:パコパンパ遺跡は,ペルー北高地,カハマルカ県チョタ郡パコパンパ村に位置する形成期の祭祀遺跡であり,2005~2010年度の調査で人骨が発掘された。本研究の目的は,パコパンパ遺跡から出土した人骨を調査し,性別・死亡年齢の推定をすること,人骨の形態や病変の観察を行うこと,骨に残された証拠から古代アンデスの人々の生と死の姿を復元することである。その結果,(1)埋葬人骨と散乱人骨の両者の最小個体数は23体であり,年齢構成は,9体が未成年,12体が成人,2体は不明であった。12体の成人のうち,性別判定ができた11体の男女比は5:6であった。未成年の9体のうち6体が1歳以下であり,胎児・乳児の死亡数が多かった。(2)頭蓋冠が残存する10体の人骨のうち,1体に当遺跡における最初の人工頭蓋変形を見つけた。
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Research Products
(4 results)