2008 Fiscal Year Annual Research Report
サトイモを中心とした作物の酸性土壌耐性に関わる機能形態および生理機構の発掘と解明
Project/Area Number |
20780012
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川崎 通夫 Hirosaki University, 農学生命科学部, 准教授 (30343213)
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Keywords | サトイモ / タロイモ / アルミニウム / ストレス / 結晶細胞 / ポリアミン / 根 / シュウ酸 |
Research Abstract |
サトイモにおけるアルミニウム(Al)障害発現およびAl耐性の機構に関わる機能形態と生理メカニズムについて検討を進めた。Alによる障害発現は、地上部よりも根で顕著に認められ、根においては冠根の崩壊や特に根先端部の表皮組織の開裂が走査型電子顕微鏡で観察された。さらに、根の先端部では原形質膜損傷が顕著に発生することがエバンスブルー染色により認められた。これらの障害は、以前に検証したポリアミンの一種であるスペルミジンの他に、同じくポリアミンの一種であるスペルミンをある一定の濃度でAl処理液に添加しても軽減される傾向が認められた。また、本研究では、サトイモ一次根の皮層周縁部に形成される「結晶細胞管状配列」の存在を見出し、この配列を構成する個々の結晶細胞ではAl処理によりAlが集積されることが認められた。本年度においては、葉身、葉柄および球茎における結晶細胞の分布パターンについて明らかにした。葉身、葉柄および球茎に分布する結晶細胞においてもAl処理によりAlが集積される傾向がルモガリオンを用いた共焦点レーザー顕微鏡観察により認められた。また、球茎においては、維管束からデンプン貯蔵柔組織へAlが輸送されにくい機構があることも示唆された。NMR分析により根のみならず葉柄においても、AlはAl : シュウ酸=1:3のAl-シュウ酸複合体の形態でキレートされていることが示唆された。サトイモではAl耐性にシュウ酸が、根のみならず球茎や地上部においても関与している可能性が示唆された。
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