2008 Fiscal Year Annual Research Report
スモモの自家和合性に関わるS遺伝子の同定と和合化の機構解明およびその育種学的利用
Project/Area Number |
20780022
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
別府 賢治 Kagawa University, 農学部, 准教授 (30281174)
|
Keywords | スモモ / S遺伝子 / 自家不和合性 / S-Rnase / 自家和合化 |
Research Abstract |
まず、既知のものの他にも自家和合性品種を探し出すために、自家和合・不和合性が確認されていない品種について、自家受粉を行い、花柱内の花粉管伸長分析および結実率調査により自家和合・不和合性を判定した。その結果、'李王'、'ハニーローザ'、などが自家和合性であることが明らかになった。次に、自家和合性品種の葉のDNAを抽出し、PCRによりS遺伝子型を特定し、共通するS遺伝子を探った。その結果、'サンタローザ'などの自家和合性品種には、Se遺伝子が共通して存在することが明らかとなった。この自家和合性品種の自家受粉により得られた種子を播種し、実生のS遺伝子型をPCRにより分析した。その結果、Se遺伝子の花粉管が自己雌ずい内で伸長阻害されておらず、Se遺伝子が自家和合性に関係していることが明らかになった。この自家和合性に関わるSe遺伝子について、ゲノムDNAとcDNAのクローニングを行い、Se-RNase遺伝子の塩基配列を分析した。さらに、このS遺伝子について、花柱を採取し、RNAを抽出してcDNAを合成し、S-RNase遺伝子の発現解析をRT-PCRにより行った。その結果、Se-RNaseは花柱で発現しているものの、その量が少ないことが示唆された。一方、他の'メスレー'などの自家和合性品種には、Sb遺伝子が共通して存在することが明らかとなった。このうち、'ハニーローザ'では、自殖実生のS遺伝子型の分析により、Sb遺伝子が自家和合性に関わっていることが示された。花柱では、Sb-RNaseは正常に発現していた。このように、本実験により、ニホンスモモの自家和合性に関わるS遺伝子が明らかになった。これらのS遺伝子による自家和合性の後代への遺伝が確認されれば、これらのS遺伝子を早期選抜のためのDNAマーカーとして利用して自家和合性品種の育種を効率的に行うことが可能となり、意義は大きい。
|