2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原性糸状菌および卵菌の病原性発現における活性酸素生成の役割
Project/Area Number |
20780032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹本 大吾 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 助教 (30456587)
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Keywords | 共生菌 / 植物病原菌 / 細胞極性 / 活性酸素生成酵素 |
Research Abstract |
1. 活性酸素生成酵素NoxAの新規制御因子の機能解析 E. festucaeの活性酸素生成酵素NoxAとその制御因子NoxR、RacAが共生時の植物内での菌糸生育の制御に重要であることをこれまでに示している。NoxRは、N末端側に存在するTPRドメインを介してRacAと結合し、C末端側に存在するタンパク質相互作用ドメイン(PB1)を介して、Cdc24、BemAおよびNoxR自身と結合することが解った。BemA、Cdc24およびNoxR、RacAとGFPの融合タンパク質をE. festucaeで発現したところ、これらタンパク質は菌糸先端に局在し、特にNoxRは菌糸が伸長時にのみ菌糸先端に局在化することが解った。E. festucaeの活性酸素生成は主に菌糸先端で検出されることから、これらNoxA制御因子が菌糸先端での活性酸素生成の制御に関与することが示唆された。bemA破壊株をE. festucaeの宿主植物であるペレニアルライグラスに接種したところ、noxA破壊株と同様に宿主植物の矮化が認められ、BemAがNoxAの制御因子であり事がさらに示唆された。 2. RacAとCdc42の活性酸素生成における機能の解析 NoxAの活性化因子であるRacAは、低分子量Gタンパク質である。E. festucaeのゲノム配列を解析したところ、RacAと極めて相同性の高いCdc42が見出された。RacAとCdc42が協調的に活性酸素生成や菌糸生育を制御している可能性が推定されたため、E. festucaeのRacAとCdc42の機能分化について調査した。Cdc42およびRacAとNoxA制御因子の相互作用をYeast two hybrid法により調べたところ、NoxR-RacA、BemA-Cdc42の特異的な結合が検出された。そこで、cdc42破壊株を作出し、活性酸素生成量を調べたところ、野生株と比較してcdc42破壊株では生成量の増加が認められた。racA破壊株では活性酸素生成量が低下することから、この結果より、NoxAによる活性酸素生成は2種類の相同性の高い低分子量Gタンパク質であるRacAとCdc42によって拮抗的に制御されていることが示唆された。
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Research Products
(12 results)