2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20780037
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
深本 花菜 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (40435607)
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Keywords | 昆虫 / 放射線耐性 |
Research Abstract |
本研究では放射線に耐性と言われる昆虫細胞が、実際に哺乳動物と比較してどの程度耐性なのか、またその理由がどこにあるのかを調査することを目的に実験を行っている。本年度は特にガンマ線と炭素線を培養細胞に照射した時の増殖と細胞死に着目して調べた。 まず、ヒトスジシマカ由来の培養細胞SS4にガンマ線を照射し、その後の致死細胞数と増殖を調査した。その結果、1 Gy照射区には増殖遅延などの影響は認められなかった。また細胞増殖率は10 Gyから線量に依存して減少したが、200 Gy線量区でも細胞数は培養開始時とほぼ変化せず、死細胞数は増加しなかった。すなわちSS4が200 Gyまでのガンマ線照射に耐性であることが明らかになった。 次にSS4細胞に0、1、10、100 Gy相当の線量の炭素線を照射し、24時間から72時間後まで細胞密度を計測した。その結果、1 Gy照射区は対象とほぼ変わらずに増殖しており、照射による影響はほとんど認められなかった。しかし10 Gyを照射したとき増殖率は急激に低下し、照射72時間後でも培養開始時の約1.5倍にしかならなかった。また100 Gy照射区でもほとんど増殖は認められなかったものの、死細胞数は増加しなかった。 これらの結果を比較すると、特に炭素線10 Gy照射区で急激に細胞増殖率が低下していた点が異なっていた。また哺乳動物細胞と同様に、ガンマ線よりも炭素線の方が増殖に与える影響が大きいことが確かめられた。しかし影響の認められる線量は哺乳動物細胞の10倍以上であり、今後はこの差異についてさらに調査する予定である。
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Research Products
(4 results)