2009 Fiscal Year Annual Research Report
食品ポリフェノールの酸化付加反応による蛋白質の修飾と生理作用発現機構の解明
Project/Area Number |
20780101
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
赤川 貢 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 助教 (70405356)
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Keywords | ポリフェノール / カテキン / エピガロカテキンがレート / ガン / 緑茶 / p68 / 蛋白質 |
Research Abstract |
緑茶カテキンは、抗癌作用、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗アレルギー作用などの多彩な生理機能性を有することが知られている。これらの機能性は、主に緑茶カテキンの非常に強い抗酸化活性によってもたらされると考えられていたが、最近になって、緑茶カテキンとタンパク質などの生体分子との相互作用が、機能性発現の重要な分子機構の一つであることが明らかにされつつある。研究代表者等は、主要な緑茶カテキンであるepigallocatechin-3-gallate(EGCG)の自動酸化によって生成するEGCGキノンが、タンパク質のシステイン残基のチオール基に求電子的に共有結合すること、さらに、その結合によってタンパク質機能を制御しうることを見出している。本研究では、培養細胞においてEGCGが共有結合する細胞内標的タンパク質を同定し、EGCGの結合によってもたらされる標的タンパク質の機能変化を解析することによって、緑茶カテキンのもつ生理機能性の発現機構を解明することを目的とした。当該年度は、EGCGが結合する細胞内標的タンパク質としてp68(ddx5)を初めて同定した。p68は、癌細胞において過剰に発現しており、c-mycやcyclin D1などの癌関連遺伝子の転写活性化を誘導するβ-cateninのコアクチベーターとして機能し、癌の発生と進展に密接に関与している。EGCGの投与によってp68のリン酸化レベルやβ-cateninとの複合体形成には影響が認められなかったが、細胞質と核内のp68とβ-cateninのタンパク質レベルの顕著な減少が観察された。さらに、β-cateninの標的癌遺伝子産物であるc-mycとcyclin D1の発現レベルが減少することを明らかにした。以上の結果から、EGCGはp68に結合することによってプロテアソームを介したp68の分解を誘導して、β-cateninの標的癌遺伝子の転写を抑制し、癌細胞の増殖を阻害するという抗癌作用発現機構が考えられた。
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